外壁改修工事が完了するまでの流れ
築後10年を経過したマンションなどの建造物は、劣化による影響を避けられないため、適切な改修・補修工事が不可欠です。外壁材は、日光による紫外線や熱、風雨、振動のほか、地震や台風などの自然災害によっても、強度の低下や汚染などが進み、傷みが目立つようになります。
寒冷地などで寒暖差が大きい地方や、塩害の可能性がある臨海エリアなどは、特に外的条件による外壁の劣化が進みやすい環境にあるため、こまめなメンテナンスは必須です。外壁の浮きや剥落は、見た目が悪いだけでなく、水漏れや外壁材の落下事故など深刻な事態を招く危険もあることからも、軽視すべきではありません。
マンションなどの集合住宅の場合は、外壁などのチェックを定期的に行い、必要に応じて改修や修繕の工事を行なうと、外観だけでなく躯体の寿命をも延ばすので、長期的な視点からも資産価値の維持に役立ちます。
外壁などの改修作業では、工事の前に様々な角度からの入念な調査も重要なステップです。この事前調査の結果をもとに、最も適切な工法を選定することが、実効性の高い改修につながるのです。
外壁の改修工事は、事前の調査から始まります。主な調査方法としては、外壁のひび割れや浮き、欠損、シーリングの劣化などを目視で観察する外観調査、ハンマー打診や実測で数値を把握する確認調査、試薬を用いた中性化テスト、モルタル層の内部の状況を把握するコアボーリングなどがあります。
事前調査の結果から、必要かつ最適と思われる工法を検討して選定したら、工事計画書や見積書を作成します。
さらに具体的な設計図や仕様書に従って足場を仮設したら、実際の改修工事に入ります。
前準備として下地処理を施した後、ひび割れ箇所への樹脂材の注入や充填、剥落部分の張替え、劣化したシーリング材の打ち替えなどを行い、仕上げ塗装をして工事が終了します。工事後は改修の効果を確認するために、引張り試験やコアボーリング等を実施。工事内容と仕様書との整合性を確認する現場検査が済むと、施主への引渡しをもって工事完了となります。